財務省は、海外からインターネットを通じて配信される音楽や電子書籍などのデジタルコンテンツの取引に対して、消費税を課税できるようにする方針だ。現在、アマゾンなどの海外のネット販売を通じて買った電子書籍等は消費税の課税対象外になっている一方、国内で通信販売している電子書籍等には消費税が課税される不公正な状況にある。同省は、改正案を2015年度税制改正大綱に盛り込み、2015年度中の実施を目指す。

消費税は、国内で消費されるサービスに対しては課税されるが、外国法人による海外からのサービス提供にはまだ日本の消費税は課税されない。消費税法上、消費税が課される輸入取引は、“保税地域から引き取られる外国貨物”と規定されている。これに該当すれば消費税の課税の対象となるし、該当しなければ消費税の課税の対象とはならない。海外サーバーを経由する電子書籍等はこれに該当しないと解釈されている。

 財務省が政府税制調査会の中で示した試案によると、まず、消費税が課される国内取引かどうかの内外判定基準について、現行制度の「役務の提供者の事務所等の所在地」を、「役務の提供を受ける者の住所・居所または本店・主たる事務所等の所在地」に見直す。また、デジタルコンテンツについては、「役務の提供」か「資産の譲渡等」かが不明確なため、消費税法上、「役務の提供」として法令が適用されることを明確にする。

 課税方式については、事業者向け取引では、内外判定基準を変更しその取引を課税対象(国内取引)とした上で、納税義務を国内事業者に転換する「リバースチャージ方式」を導入し、国内事業者が消費税の申告納税を行う。納税義務者である国内事業者は、リバースチャージに対して同額の仕入税額控除が認められる。これについては、納税額と同額の仕入税額控除を計上することとなる大多数の事業者の申告義務を免除する規定を設ける。

 また、電子書籍や音楽の配信等の通常個人向けや、消費者・事業者双方に提供され事業者向けであることが明らかでない取引は、内外判定基準を「役務の提供を受ける者の所在地」に変更しその取引を課税対象(国内取引)とした上で、国外事業者に納税義務を課す「国外事業者申告納税方式」を導入する。国外事業者は、国税通則法の規定に基づき、日本に住所がある「納税管理人」を定めなければならない。