ふるさと寄附金(ふるさと納税)には寄附金控除制度が適用され、納税額の2000円を超える部分について一定の上限まで所得税と個人住民税から全額控除されるため、納税者が納税先を選択できる制度として2008年の導入時から注目された。最近では、全国の自治体がふるさと納税(寄附)した人に競って特産品や記念品を贈るようになり、マスコミが盛んに取り上げ、専門サイトが注目を浴びるなど、ふるさと納税はブーム化している。

  だが、総務省が発表する「寄附金税額控除に関する調査」では、そうしたふるさと納税のさまざまな側面が浮かび上がる。2012年中に都道府県・市区町村にふるさと納税した人や額を都道府県別(寄附者の居住地別)にみると、トップは「東京都」の2万2452人・33億7518万円、次いで「神奈川県」の1万1293人・10億1439万円、「大阪府」が9187人・14億6801万円で続く。1人当たりの平均寄附金額は12万2233円となる。

  全国では10万6446人・130億1128万円だが、この数字を全国で74万1677人・649億1490万円だった前年2011年中と比べると、寄附者数は85.7%も減少し、寄附金額も80.0%減と約5分の1へと大幅に減少している。ただし、2011年は東日本大震災の復興支援の意味合いもあり、寄附者数は前年の約22倍、寄附金額は同約9.7倍に急増し、いずれも過去最多を記録していた。2012年中の大幅減少は、その反動とみられる。

  とはいえ、半面、ふるさと納税ブームが表面的なものとはいえまいか。注目を集める特産品や記念品を贈る一部の自治体ばかりに寄附金が集まり、「ふるさとに貢献したい」、「応援したい自治体を支える」という本来の趣旨が損なわれていると指摘する識者もいる。優れた政策発信をしている自治体、税源の少ない自治体を応援して、税の偏在を市民の意思で補完していくという納税社会になるには、まだ時間が必要なのかもしれない。