大阪府泉佐野市は、放置された犬のふん害を解決する手段として法定外目的税の「犬税」導入を検討していたが、このほど犬税検討委員会の「導入は困難」とする報告を受け、同税を断念する考えを明らかにした。泉佐野市が本格的に犬税導入の検討を始めたのは今年2月。財政難のなか、ふんの清掃を行うための環境衛生費が増加したため、その費用を飼い主に負担させようと、年間1頭あたり2000円を課税することを計画していた。

 

 同市は、関西国際空港の玄関都市として美しい街づくりを目指し、2006年4月に「環境美化推進条例」を施行し、いわゆる「ポイ捨て」(飼い犬等のフンの放置を含む)を禁止行為として規定。2012年1月には、是正命令違反者に対して過料1000円の徴収を行えるよう同改正条例を施行するとともに、同年9月からは、放置ふんが多い14区域を重点区域として定め、「放置ふんGメン」による放置ふん回収や音声啓発を実施してきた。

 

 さらに2013年2月からは、14重点区域において、単に放置ふんを回収するだけではなく、条例違反であることを警告する「イエローカード」の設置を開始し、同年7月からは、新たに環境巡視員2名を配置して過料の実徴収を開始した。こうした取組み等の結果、全体的には改善傾向にあるが、なお相当数の放置ふんが見られる区域があるため、市として、所要の対策経費を賄うことを目的とした犬税の導入を検討するに至ったもの。

 

 しかし、市設置の有識者等で構成する犬税検討委員会は7月30日、導入は「困難と言わざるを得ない」との報告書を千代松大耕市長に提出した。理由として挙げたのは、公平性とコスト面。市における狂犬病予防法上の登録犬数と実際の飼養犬数には乖離があり、公平な課税ができないこと、また、税徴収の費用が平年度1600万円かかるのに対し、税収は約1000万円にとどまる見込みであることから、犬税の導入は困難と結論づけた。

 

 これを受け、泉佐野市は犬税の導入を断念し、代わりに従前から実施していた環境美化推進条例に基づく過料を強化する方向性を示している。同条例に基づく過料は、2013年10月から5000円に引き上げているが、泉佐野市は、今年10月以降は1万円に引き上げて、犬のふんの放置を見つけたら、飼い主から、その場で徴収する方法に改める方針を明らかにしている。