来年1月から基礎控除額が大幅減になるなど大増税となる相続税の仕組みを確認したい。
相続税の申告が必要となる場合には、被相続人の亡くなった日の翌日から10ヵ月以内に、被相続人の住所地を所轄する税務署に相続税の申告書を提出しなければならない。
被相続人から相続などによって「財産を取得した人それぞれの課税価格の合計額」が、「遺産に係る基礎控除額」を超える場合、その財産を取得した人は、相続税の申告をする必要がある。

 「財産を取得した人それぞれの課税課額の合計額」とは、「相続税が課される財産」の価額から「相続財産の価額から控除できる債務と葬式費用」の価額を差し引いた金額となる。
相続税の課税対象となる財産には、まず、被相続人が亡くなった時点において所有していた財産がある。
(1)土地、(2)建物、(3)株式や公社債などの有価証券、(4)預貯金、(5)金などのほか、金銭に見積もることができる全ての財産が相続税の課税対象となる。

 次に、みなし相続財産がある。
被相続人の死亡に伴い支払われる「生命保険金」(被相続人が負担した保険料に対応する部分に限る)や「退職金」などは、相続などによって取得したものとみなされ、相続税の課税対象となる。
ただし、「生命保険金」や「退職金」のうち、一定の金額までは非課税となる。一定の金額とは、「生命保険金」及び「退職金」の区分ごとに、「500万円 × 法定相続人の数」によって計算した金額をいう。

 そのほか、被相続人から取得した相続時精算課税適用財産がある。
被相続人から生前に贈与を受け、その際に相続時精算課税を適用していた場合、その財産は相続税の課税対象となる。
また、被相続人から相続開始前3年以内に取得した暦年課税適用財産がある。
被相続人から相続などによって財産を取得した人が、被相続人が亡くなる前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産(相続時精算課税適用財産を除く)は、相続税の課税対象となる。

 一方、借入金や未払金などの被相続人の債務は、相続財産の価額から差し引かれる。また、被相続人の葬式に際して相続人が負担した葬式費用も、相続財産の価額から差し引かれる。
葬式費用とは、
(1)お寺などへの支払い、
(2)葬儀社、タクシー会社などへの支払い、
(3)お通夜に要した費用などだ。
なお、墓地や墓碑などの購入費用、香典返しの費用や法要に要した費用などは、葬式費用に含まれない。