法人税率引下げの議論が本格化してきた。5月16日に開かれた政府税制調査会の法人課税専門委員会は法人税の改革案を示し、「法人税改革は、必ずしも単年度での税収中立である必要はない」として、法人税率引下げの減税先行を容認した。また、法人税の改革と併せて、関連する他の税目についても見直しを行う必要があるが、恒久減税である以上、恒久財源を用意することが鉄則との考えを示した。
今回の法人税改革の主な目的については、(1)立地競争力を高めるとともに、わが国企業の競争力を強化するために税率を引き下げること、(2)法人の課税ベースが狭くなり、負担が一部の黒字法人に偏っている現在の負担構造を見直すこと、の2つを掲げた。(1)においては、企業が国を選ぶ時代にあって、国内に成長分野を確保するには、「法人税率の引下げは避けて通れない課題」との基本スタンスを強調している。
また、(2)においては、現在、全法人の1%に満たない資本金1億円以上の企業が法人税収の6割以上を担っており、他方で、納税企業が全体の3割に満たないという状況を指摘。課税ベースを拡大して、代わりに税率を引き下げることにより、高収益を上げる企業の税負担を緩和し、法人課税を“広く薄く”負担を求める構造にすることは、企業の成長を後押しし、新しい産業や新規開業が行われやすい環境を作ることになる、とした。
注目される代替財源については、(1)租税特別措置(政策減税)の縮小・廃止、(2)欠損金(赤字)の繰越控除制度の見直し、(3)受取配当の益金不算入制度の縮小、(4)減価償却制度の見直し、(5)中小法人への課税強化、(6)公益法人等への課税強化、(7)外形標準課税の強化など地方法人課税の見直し、などが具体的な改革事項とされ、併せて、国際課税の見直しや、給与所得控除などの法人課税以外の税目も検討事項として挙げられている。
政府税調法人課税委員会の改革案は↓